「文学少女」シリーズの野村美月初の一般レーベル。
とは言え、「文学少女」シリーズよりも軽い。ライトノベルのライトとはなんぞや。
とても良き。
このシリーズはもう1冊出ているので、早めにそっちも読みたいし、2巻で終わっていないなら続きを早く出して追いてほしい。
今回が春なんだし、4冊は出してくれるといいな。
野村美月初の一般レーベルとは言うものの、講談社タイガだし、文芸に向かっているわけでは無い。
登場人物の年齢を少しあげることで、3人称含め、少し落ち着いた台詞回しになっているくらい。
今後どうなるかはわからないけど、「文学少女」シリーズほど重い悩みを持った登場人物は出てこない。
心に傷を抱えた大学生の春近は、眠れない二月三日の深夜、公園に散歩に出る。「二月三日は、『不眠の日』です」。彼に話しかけたのは、もふもふの白い毛並みのサモエド犬を連れた、人妻のひまりさんだった。彼女とともに、晴追町に起こる不思議な事件を解き明かすうち、春近はどんどんひまりさんに惹かれていき……。
引用:楽天ブックス
「文学少女」シリーズよりもミステリー成分は薄め。
一応謎があって、それを解決はするくらい。
あくまで物語の引きとして、落ちをつける場所として謎とその解決を用意している感じ。
あとがきで作者の野村美月も名言しているけど、骨組みは完全に”めぞん一刻”。
そこをどう思うかだけど、ここまでリスペクトが入っていたら嫌な気持ちになる人はいないんじゃないかな。
僕もそっち。
ガチの響子さん好きはどう思うんだろう。
犬の有海さん=旦那の有海さんの図式になっていて、これはそうなんだろうけど、そうすると春近くんの恋はどうなるのか。めぞん一刻とは状況変わってきちゃう。
春近くん、巴崎ちゃん、園長先生の恋がどれも上手くいかなそうで、この爽やかで暖かな物語で、作者はどんな決着をつけるのかとても楽しみ。
『春追町に住む人たちの願いごとが、みんな叶いますように』
春近くんは七夕の短冊にこう書いた。
巴崎ちゃんの願いが本当に「好きな人の最期を看取りたい」ってことであれば春近くんの願いも叶うんだろうけど、それはとても淋しい。
淋しくて、すがすがしいのかもしれないけど。
やっぱり野村美月こういうヒキを作るのとても上手。
シリーズものという舞台をうまく活かしてる。