最高だった。めちゃめちゃ好きだこれ。
ホラーなのかミステリなのか判断がつかないまま進んでいく物語、結局どっちだったのかはなんとも言いづらいが、個人的に傑作であることは間違いない。
都市伝説とか怪異が好きなら絶対に読むべき。
最高に良き。
僕も妖怪とか都市伝説とか怪異とかそういうの好きな軽いムー民なんでたまらない。
何度も言ってしまうが本当に最高だった。
詠坂雄二まだこの1作しか読んでいないけど、一気にファンになってしまった。
こういう本に出合いたくてミステリーを読んでいるんだ。
「電気人間って知ってる?」一部の地域で根強く語られている奇怪な都市伝説。真相に近付く者は次々に死んでいく。語ると現れ、人の思考を読むという電気人間は存在する!? ライターの柵馬朋康(さくまともやす)もまた謎の解明に乗り出すが、複数の仮説を拒絶する怪異は、彼を出口の見えない困惑の迷宮に誘(いざな)う――。ミステリか、ホラーか。ジャンルの枠を軽妙に超越する鮮烈の問題作!
引用:楽天ブックス
23章の最後の1行を読んだ時に「うわっ!」って声を出してしまった。
そして、解決編である24章の最後の2行を読んだときにも「うはっ!」って声を出してしまった。
作者の詠坂雄二が探偵役として活躍し、竹峰犯人説で一応の解決を見せるものの、真相は全くの的外れ。
それなりに、筋が通った推理のようだが、読者の視点からでは(登場人物としての)詠坂雄二の推理も穴だらけ。
特に、赤鳥が全裸だったことからの死んだタイミングなんかは全くの的外れ。
そして、韮澤の存在が電気人間が実在するのでは?という雰囲気を最後まで緊張感持って維持していて、見事。
しかし、詠坂雄二は「仮にこれが俺の小説ならラストは電気人間実在で落としますよ。」と、メタ的に推理を当てているのもとても皮肉が効いているし、読者に対する大きなヒントとなっている。
・語ると現れる。
・人の思考を読む。
・導体を流れ抜ける。
・旧軍により作られた。
・電気で人を殺す。
教授はこの5つの伝承を「存在の吟味を回避する」うまいやり方と述べていましたが、「存在の確認する」うまいやり方にもなっているのが本当に見事。
ここまでくると哲学的ではあるので、ミステリーとしてアンフェアと捉えてしまう人もいるのもわかるけど。
本書は、三人称視点のように見えて一人称視点だった。という割と多く使われる叙述トリックではある。
それでも、「語ると現れる」というルール通り24章全てが「電気人間」という言葉が発せられたところから始まっており、読者は24回仕掛けに気付くタイミングがあったはずだ。
赤鳥と日積が殺された瞬間に、文章がカットアウトされているのは、電気人間を語る存在がその場にいなくなったせい、ということを表している点も不気味な雰囲気をうまく演出しつつ、電気人間の存在のアピールにもなっていて見事。
そして、一番うまいのが、「人の思考を読む」のルール。
これにより、普通の一人称視点では書けない、登場人物の思想を描写することができ、一人称という真相にたどり着くのが困難になっている。
確かに「何でもありじゃん」と言われちゃうのもわかるけど、その分しっかりとルール説明はされていたし、アンフェアということはないでしょう。というのが僕の気持ち。
ミステリとしての大仕掛けも派手で最高に面白いし、怪異ものとして雰囲気なんかもすごくあるし、いきなりすぎてくだらない大オチにもやれちゃったし、本当に面白かった。
最高最高最高。