タイトルからご飯ものかと思っていた。
もちろん、ご飯が重要なアイテムとして描かれていたりもするけど、もっとだ。もっと欲しかった。
メインで絡んで来たのがポカリで、次がだいぶ落ちてケンタッキーだった。それは残念。
瀬尾まいこさんの作品の中では随分と今時で映画向きだな、と思ったら映画化されてた。
恥ずかしい。
兄の死以来、人が死ぬ小説ばかりを読んで過ごす亮太。けれど高校最後の体育祭をきっかけに付き合い始めた天真爛漫な小春と過ごすうち、亮太の時間が動きはじめる。やがて家族となった二人。毎日一緒に美味しいごはんを食べ、幸せな未来を思い描いた矢先、小春の身に異変が。「神様は乗り越えられる試練しか与えない」亮太は小春を励ますが…。泣いて笑って温かい、優しい恋の物語。
引用:楽天ブックス
思った以上に恋愛小説だった。
というか、ゴリゴリの恋愛小説だった。そういうのが読みたい訳ではなかったけど、さすがの瀬尾まいこさん、読みやすい。
嫌な感じがないんだよな。
割と臭いキャラクターが臭い設定で臭い恋愛をしているんだけど、ところどころに毒が効いていて、甘ったるいだけじゃないのが良き。
葉山くんと上村さんの、付き合うまでが最高潮で、ポカリというアイテムもとても自然で、とても象徴的に扱えている。
付き合って、一気に普通の男になった葉山くん。ここら辺から甘味強すぎるなぁ、と思っていたけど、上村さんが葉山くんを振った理由がとても良き。
上村さんにとってのそれまでの家族(おじいちゃん、おばあちゃん)が、とても大事な存在なのに、打ち解け切れていない関係性が現れていてとても胸苦しく、これまでの上村さんのキャラクターなどにも深みが出て、不幸なのは自分だけだなんて思っていた葉山くんのかっこ悪さとの対比がまた良き。
思ったことを全部言えない家族だった上村さんが、葉山くんと結婚し、自分の家族に執着する様子は鬼気迫るものがありつつ応援したくなる切なさ。
特に、葉山くんと2人だけでは、家族ではなく、夫婦だ。という意見が辛く物悲しい。
子宮を摘出してしまうことで、家族を作ることを諦めざるを得なかっただけなのかもしれないが、それでも、ちゃんと葉山くんと2人で過ごしていくことを決意したのは、さすがと言わざるを得ない強さだ。
そして、それはきっと、おじいちゃん、おばあちゃんへの距離も少し縮まったんだろう。
上村さんが入院中の病室で同室だった山崎さん。
とても素敵なキャラで、それこそイエスさまのようだ。