瀬尾まいこ「温室デイズ」

中学生の女の子2人が主人公。
僕からすごく遠くの位置にいる登場人物たちですが、それでも、この主人公2人の苦悩は響くし、周りの登場人物の苦悩もちゃんと響く。

あらすじ

みちると優子は中学3年生。2人が通う宮前中学校は崩壊が進んでいた。校舎の窓は残らず割られ、不良たちの教師への暴力も日常茶飯事だ。そんな中学からもあと半年で卒業という頃、ある出来事がきっかけで、優子は女子からいじめを受け始める。優子を守ろうとみちるは行動に出るが、今度はみちるがいじめの対象に。2人はそれぞれのやり方で学校を元に戻そうとするが…。2人の少女が起こした、小さな優しい奇跡の物語。
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温室デイズ (角川文庫)
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感想

いじめがテーマということで割と読んでいて苦しく、爽快感は少ない。
ハッピーエンドと言っていいくらいの終わり方だが、それでもすっきりしないものは残る。

近頃はどうなのかわからないけど、少なくともこの小説内では、中学校というのは学区で通うところが決められてしまう場所。
与えられた場所にしては悪すぎる環境に飲み込まれたり、耐えたり、抵抗したり。
主人公である、みちると優子はお互い唯一と呼べる親友同士のはずだが、なぜこの2人が親友としてやっていけているのかは、理解ができない。
友情とはそんなもの、といえばそれだけなんだけど、そもそもが優子から「友達になろう」と言って友達を始めるという不自然な形の友情。
それでも、この2人の友情は確かなものだし、美しいと思える。
お互いのことを本当に考えているのか、友情に酔っているのか。

いじめに耐え続けるみちると、いじめられているわけでも無いのに逃げ出した優子。
解決という出口はどちらにも見えていない。

小説としては、もっと明確な変化が欲しくなってしまいがちだけど、この「卒業」まで耐えきるという行動は唯一の正しい行動だったのでは?とも思う。

間接的にみちるを、学校を救おうとした優子。
きっと彼女は、唯一の友達を救えなかった・傷つけてしまったということで自分の無力さを感じてると思う。
その優しさはきちんとみちるに伝わっていて、その優しさだけでみちるはちゃんと救われたのだろうけど、そこで小説が終わってしまっているのが、爽快感の少なさになっていると思う。
みちるがちゃんと優子にお礼を言ってくれるといいな。と思う。

2018年 年間ベスト

  1. 詠坂雄二「電氣人間の虞」
  2. 西加奈子「ふる」
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  27. 北山猛邦「先生、大事なものが盗まれました」
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  30. 竹宮ゆゆこ「おまえのすべてが燃え上がる」
  31. 法月綸太郎「ノックス・マシン」
  32. 辻村深月「鍵のない夢を見る」
  33. 野村美月「文学少女と死にたがりの道化」
  34. 江戸川乱歩「怪人二十面相」
  35. 青山七恵「魔法使いクラブ」
  36. 又吉直樹「火花」
  37. クレア・ノース「ハリー・オーガスト、15回目の人生」
  38. 野村美月「文学少女と穢名の天使」
  39. 伊坂幸太郎「オーデュボンの祈り」
  40. 辻村深月「ハケンアニメ!」
  41. 東野圭吾「仮面山荘殺人事件」
  42. 有栖川有栖「46番目の密室」
  43. 岸田るり子「出口のない部屋」
  44. 青崎有吾「体育館の殺人」
  45. 下村敦史「生還者」
  46. 野村美月「文学少女と飢え渇く幽霊」
  47. 村田沙耶香「コンビニ人間」
  48. 東野圭吾「鳥人計画」
  49. 木内一裕「デッドボール」
  50. 佐藤友哉「子供たち怒る怒る怒る」
  51. 山口雅也「PLAY プレイ」
  52. 森絵都「カラフル」
  53. 井上荒野「あなたの獣」
  54. 東野圭吾「どちらかが彼女を殺した」
  55. 岡嶋二人「そして扉が閉ざされた」
  56. 東野圭吾「ある閉ざされた雪の山荘で」
  57. 早見和馬「イノセント・デイズ」
  58. 辻村深月「水底フェスタ」
  59. 櫛木理宇「死刑にいたる病」
  60. メグ・ガーディナー「心理検死官ジョー・ベケット」
  61. 瀬尾まいこ「おしまいのデート」
  62. 竹宮ゆゆこ「あしたはひとりにしてくれ」
  63. 連城三紀彦「夜よ鼠たちのために」
  64. 伊坂幸太郎「火星に住むつもりかい?」
  65. 筒井康隆「虚人たち」
  66. 西澤保彦「殺す」
  67. 東野圭吾「放課後」
  68. 長江俊和「出版禁止」
  69. 東川篤哉「密室の鍵貸します」
  70. 倉知淳「星降り山荘の殺人」
  71. 東野圭吾「十字屋敷のピエロ」
  72. 西村京太郎「殺しの双曲線」
  73. 中町信「暗闇の殺意」
  74. 秋吉理香子「暗黒女子」
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  98. 首藤瓜於「脳男」
  99. 西澤保彦「麦酒の家の冒険」
  100. 山崎洋子「三階の魔女」
  101. 青柳碧人「西川麻子は地理が好き。」
  102. カタリーナ・インゲルマン=スンドベリ「犯罪は老人のたしなみ」
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  107. 島田荘司「斜め屋敷の犯罪」
  108. ジェーン・スー「貴様いつまで女子でいるつもりだ問題」
  109. 折原一「耳すます部屋」
  110. 竹内雄紀「悠木まどかは神かもしれない」
  111. 長江俊和「掲載禁止」
  112. 七月隆文「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」
  113. 鯨統一郎「邪馬台国はどこですか?」
  114. 木下半太「鈴木ごっこ」
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  116. 高木敦史「演奏しない軽音部と4枚のCD」
  117. 遠藤武文「トリック・シアター」
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