「プリズン・トリック」は確か60点くらいの作品だった。
本書のあらすじを読むと非常に面白そうな作品。
タイトルも良くて面白そう。
面白そうだったのに。
「プリズン・トリック」も面白いとは思わなかったんですけど、「トリック・シアター」はそれ以下。
点数をつけるなら40点ほど。
残念。
空前の劇場型犯罪が幕を開ける。2010年3月21日未明に、奈良と東京で、女性と男性が殺害された。被疑者は被害女性の夫であり、被害男性の大学時代のサークルの先輩だった。同一人物による500km離れた場所での同時殺人。警察庁「裏店」のキャリア警視正・我孫子弘が捜査の指揮をとると、被疑者の大学時代の映画サークルの仲間4人がこれまで、3月21日に事故・もしくは自殺で死亡していたことが明らかになる。
引用:楽天ブックス
以下ネタバレは「プリズン・トリック」のネタバレにも言及してますのでご注意ください。
同じ時間に殺された2人の容疑者が同一人物・・・「アリバイ崩し」
閉鎖病棟で起こった殺人・・・「密室殺人」
と、2つの謎に取り組む本格ミステリーかと思っていた。
もしかしたらトンデモミステリーかもしれない、とワクワクしていた。
そうしたら、社会派ミステリーだった。
「トリック・ミステリー」というタイトルでこの裏切りは残念でしかない。
そして、社会派ミステリーというにはリアリティもなく、なんとも薄っぺらい。
同一犯による同一時刻の殺人なんてのはあり得るわけないのはわかってるが、そもそも「同一時刻の殺人」と判断した理由が「遺留品」だけってのは警察のレベルが低すぎるでしょう。
戸田和義という黒幕が突如現れ、ノックスの十戒の「犯人は物語の当初に登場していなければならない」に完全に反してるじゃねえか、と思ったら(必ずしも守らなければならないものではないが)、「プリズン・トリック」にも出て来た犯人なんですね。
犯人のシリーズものってのはなかなか珍しいけどフーダニット(犯人当て)としては最低な手法ですよね。
あと、本筋とは関係ないんですが、やけに信長の話が出てくるがその度に笑ってしまう。
いや、本筋と関係なくて笑っちゃう。
あのエピソードはなんなんだったんだろう。
上杉警部や、その他にも無駄に出てくる登場人物など見てるときっと続編が出てくるんでしょうね。
シリーズもの自体は好きですが、1つの作品としてマイナスになるほどの登場人物の出し方はやはり小説としての評価も下げざるを得ない。
もう、この作家の本は読まないかな。