「BE-BOP-HIGHSCHOOL」の原作者、木内一裕の5冊目の小説。
ヤンキー漫画がそんなに好きじゃ無いのもあって「BE-BOP-HIGHSCHOOL」は未読なんだけど、近いうちに読みたくなった。
「デッドボール」面白い。「藁の盾」も面白かったけど、明らかに筆力があがっている。
とにかく主人公のキャラクターがいい。
優柔不断な部分がありつつも、信念とも呼べるよな部分を持ちつつ、すごく人間的なキャラクターが現実に地続きでありそうな事件に巻き込まれ、活躍する様はやはり痛快で爽快だ。
視点がコロコロと変わるものの、それぞれのキャラクターがとても個性的で読みづらさは全くない。
サクサク読めるが軽すぎる印象は無し。
仕事なし、彼女なし、借金あり。とにかくツイてない。律儀なことが唯一の取り柄。そんなノボルに持ちかけられたのは、絶対に失敗するはずのない完全誘拐計画。その報酬は一千万円。人生を立て直すためのたった一度の犯罪。そう誓って受けたこの仕事。だが彼は、身に覚えのない事件の殺人犯になっていた。
引用:楽天ブックス
「完全誘拐計画」の文字に惹かれて購入したものの、誘拐自体は序盤で終わり。
そこは多少残念だったものの、そこから読者を引き込む力がすごかった。
それこそ漫画の連載のように、章ごとに次へのフックがあり、とにかく続きが気になる。
セリフ回しもこういうテンション高めなクライム小説にぴったりな感じの少しキザでカッコつけた言い回しがそれぞれのキャラクターにもぴったり。
それぞれのキャラクターがしっかりと作り込まれているんだけど、中でもいいキャラクターをしているのが悪徳弁護士である成宮。
成宮の小物な悪役感、最&高。
息を吐くように嘘をつき、なおかつそこに楽しみを見出している、という根っからの嘘つきっぷり。
そんなキャラクターにも視点をもたせたことで成宮の小物っぷりや、悪役っぷりが強調されて「どうか痛い目にあってくれ」と思わずにはいられない。
エピローグは多少無理やり詰め込まれた感はあるものの、あってよかったと純粋に思える爽快さがある。
いろいろな人にオススメできるエンタメ小説。