金沢に持って行った本3冊目。
2白3日で3冊読了。あぁ、時間があるって素晴らしい。
だが、この小説はいまいち。残念。もったいない。
凶悪事件が後を絶たない状況を受け、日本政府が新たな法律を施行した。五人組―それは隣近所の5世帯が、犯した罪に連帯して処されるというもの。そんな中、五人組の班長に任命された来栖克明の隣に住む、真鍋老人が殺された。しかも、殺したのは同じ五人組の井辻という男らしく…。このままでは、ほかの五人組のメンバー全員が殺人罪に問われてしまう…。ここから狂気の日々が始まった。謎が事件を呼ぶ、猟奇ミステリー。
引用:楽天ブックス
あらすじというか、設定は最高。
筒井康隆みたいで最高。
ハチャメチャなブラックコメディーになりそう。だけど、「猟奇ミステリー」か。
せっかくのいい設定なのに、もったいない。
なんとも中途半端な位置づけになってしまってる。
ドタバタにもハチャメチャにもならず、”ちゃんと”ミステリーを書こうとしてしまっている。
せめてホラー的なものに寄せればもっと楽しめたんじゃなかろうか。
井辻が殺人を起こしてしまい(それも真相は別だが)、それを隠蔽するために死体を隠す、って無理がある。
五人組の制度があるのであれば、別の五人組に罪を被せる方向に持って行くべきだし、それを誰も思いつかないのが不自然で、怖さやミステリーとしての不思議さがなくなっている。
ご都合主義で進んで行ってしまうことも、緊張感をどんどんと削ってしまっている。
筒井康隆みたいな、ブラックなコメディーにしてくれたらきっと楽しい作品になっただろうな。
読後感も悪いのはわざとなんだろうけど、この設定になったらほぼこういう結末になるだろうし、結構序盤というかあらすじからこの結末は予想できてしまうので意外性は無し。
仙道の子供の真相も最初から読めてしまう。
というよりも、配布された紙に子供の名前が無いことを誰も不思議に思わないのも不自然。
“人間の怖さ”を演出したいのであれば、人間の行動や、思想にリアリティが無いとだめなんですね。
当たり前と言えばそれまでだけど、とにかくフィクション感が強すぎる。
あらすじは面白そう(いい設定)で、タイトルはキャッチー。
そこを全然活かせてない。
もったいない。