どこからどこまでが現実で、どこからどこまでが空想なのか。
ミステリーというよりはホラー。
もちろん、折原一のことなので、単純なホラーでも単純なミステリーでもないんですけど。
複雑にこんがらがった小説で、その複雑さが謎を読んでいるし、この小説の見どころ。
さすが折原一だな、と思わされる。
東京郊外の山間にある別荘に、行方不明だった推理作家・西田操が帰ってきた。西田は初めての小説『完全犯罪』で新人賞を獲得、謎めいた経歴ゆえ「覆面作家」と呼ばれていた。帰還早々、長編小説の執筆に没頭する西田だったが、周囲では怪現象が続発する。その先に待っていたものは―。
引用:楽天ブックス
「覆面作家」というのが、まさか物理的に覆面をかぶっている作家のことだとは・・・・・・
というのが序盤の衝撃。
「そうじゃなくてさ!」って思いながら読み進めると、だんだんと幻想的な雰囲気になってきて、どんどん小説の世界に、小説内の小説の世界にのめり込んで行くことになります。
あまりに不可思議な世界で「これ大丈夫か?結論出せるのか?」って不安になって文庫本裏のあらすじ読むと、「ホラー」の文字が。
あぁ、そうなのね。ミステリーじゃないのか。ホラーなのか。
じゃ、この不思議な世界も幽霊的なアレってことになるのね。
と、その時の僕は「ミステリーが読みたかったのにな」なんて思いつつも、それでも充分面白く読み進めると、やっぱりミステリーじゃん。
終盤はドンデン返しの連続。
いや、ドンデン返しと言うよりは、入れ子構造というか、叙述トリックのマトリョーシカのよう。
西田操が都合よく動きすぎなところもありますが、違和感だらけの雰囲気のおかげで許せる範囲。
やっぱり安定の折原一。