ルイス・サッカー「穴」

この小説には全てがある。
友情、冒険、成長、謎、伏線、感動、差別などなど、全ての要素が詰まっていると言ってもいい。
本当に見事な1冊だし、そんなことよりもまずは、単純に最高に面白すぎる1冊。

まだ「穴」を読んでいない人が羨ましい。
こんな面白い物語を初体験できるの羨ましい。

全ての人に薦めたい。
僕も1年に1回は読んでると思う。

あらすじ

全米図書賞、ニューベリー賞他受賞の傑作。無実の罪で砂漠の矯正施設に入れられた少年スタンリー。大地に穴を掘るだけの苦行の日々から脱出し、不運を幸運に逆転する冒険へと踏み出す。友情と感動の物語!
引用:Amazon「穴」

ネタバレありの感想

人格矯正として、ただひたすら砂漠に穴をほらされる主人公のスタンリー・イェルナッツ。
だけど、すぐに人格矯正のためではないと気付く。
「なぜ穴を掘るのか?」という謎を残したまま、そして、一見関係のない過去のエピソードを交えながら物語は進んでいく。

この方法がすごく今時ですよね。
伊坂幸太郎みたい。
結末の伏線回収もまさしく伊坂幸太郎みたいで爽快。
「いしいしんじ+伊坂幸太郎」って感じだ。

奇跡の連続でリアリティという点ではないんですけど、その奇跡が起きるのもスタンリーの血と勇気と友情のおかげであり、起こるべくして起こった奇跡なので納得度も高いし、爽快感も素晴らしい。
この小説が多くの児童文学と違うのは、奇跡の分しっかりと不幸もあって、ただただ幸せなだけの物語じゃない。

結末、あくまでこの小説としての結末はハッピーエンドなんですけど、これまでのスタンリーや周りの登場人物、これからのスタンリーや登場人物が幸せかどうかはわからない、ってのは当たり前なんですけど、そんな風に思わせるリアルさもあり、小説は誰かの人生の一場面しか描くことができないというもどかしさも感じつつ、これからのスタンリーの幸せを願わずにはいられないだけの感情は入ってしまう。

僕がこの小説で好きなのは、とにかく伏線回収。
そしてそんなことより、伏線回収とかそういうの抜きにしても最高に面白い物語だ、ということ。

一生読める。
何度でも読める。
そしてその度に楽しい。

2017年 年間ベスト

  1. 村田沙耶香「殺人出産」
  2. 辻村深月「ぼくのメジャースプーン」
  3. ルイス・サッカー「穴」
  4. 梓崎優「叫びと祈り」
  5. 舞城王太郎「煙か土か食い物」
  6. 舞城王太郎「好き好き大好き超愛してる。」
  7. 柾木政宗「N0推理、NO探偵?」
  8. 城平京「虚構推理」
  9. 辻村深月「名前探しの放課後」
  10. 三島由紀夫「命売ります」
  11. 森博嗣「すべてがFになる」
  12. 米澤穂信「満願」
  13. 豊島ミホ「底辺女子高生」
  14. 江戸川乱歩「江戸川乱歩名作選」
  15. 太宰治「人間失格」
  16. 辻村深月「子どもたちは夜と遊ぶ」
  17. 深水黎一郎「五声のリチェルカーレ」
  18. 麻耶雄嵩「貴族探偵」
  19. 朝井リョウ「桐島、部活やめるってよ」
  20. 喜国雅彦「本棚探偵の生還」
  21. 森博嗣「冷たい密室と博士たち」
  22. 西澤保彦「殺意の集う夜」
  23. 野村美月「文学少女と死にたがりの道化」
  24. 森絵都「宇宙のみなしご」
  25. 湊かなえ「山女日記」
  26. 霧舎巧「名探偵はもういない」
  27. 泡坂妻夫「湖底のまつり」
  28. 降田天「女王はかえらない」
  29. 森絵都「気分上々」
  30. 辻村深月「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」
  31. 野村美月「文学少女と飢え渇く幽霊」
  32. 辻村深月「光待つ場所へ」
  33. エドガー・アラン・ポー「黒猫」
  34. 歌野晶午「そして名探偵は生まれた」
  35. 法条遥「忘却のレーテ」
  36. 折原一「グランドマンション」
  37. 辻村深月「ロードムービー」
  38. 瀬尾まいこ「強運の持ち主」
  39. 志駕晃「スマホを落としただけなのに」
  40. 桐山徹也「愚者のスプーンは曲がる」
  41. 峰月皓「七人の王国」
  42. 湊かなえ「母性」
  43. 飯田譲治 梓河人「盗作」
  44. 伊坂幸太郎「残り全部バケーション」
  45. 折原一「遭難者」
  46. 折原一「螺旋館の殺人」
  47. 芦沢央「罪の余白」
  48. 井上夢人「魔法使いの弟子たち」
  49. ジェフリー アーチャー「百万ドルをとり返せ!」
  50. 伊坂幸太郎「首折り男のための協奏曲」
  51. 竹吉優輔「襲名犯」
  52. 湊かなえ「境遇」
  53. 長谷川夕「僕は君を殺せない」
  54. 早坂吝「〇〇〇〇〇〇〇〇殺人事件」
  55. 蘇部健一「六枚のとんかつ」