志駕晃「スマホを落としただけなのに」

このミス大賞の「隠し玉」
なんだかんだこのミス大賞、気になるんですよね。
本書はとても現代的な舞台設計。

あらすじ

麻美の彼氏の富田がスマホを落としたことが、すべての始まりだった。
拾い主の男はスマホを返却するが、男の正体は狡猾なハッカー。
麻美を気に入った男は、麻美の人間関係を監視し始める。
セキュリティを丸裸にされた富田のスマホが、身近なSNSを介して麻美を陥れる狂気へと変わっていく。
いっぽう、神奈川の山中では身元不明の女性の死体が次々と発見され……。
引用:楽天ブックス

ネタバレありの感想

題材として、SNS・ネットストーカー・連続殺人と、今時というより、とても現代っぽいサスペンスもの。
ランサムウェアも出てきます。

そして、今時っぽい視点の多さ。
・主人公の「麻美」
・麻美をネットストーキングする「男」
・連続殺人犯を追う「警察」
の3つの視点から描かれるんですけど、これ警察視点必要ですかね?
個人的には警察視点でページを割くくらいなら「美奈代」のエピソードを深く掘っていくべきだったのでは?と思います。
やけに長いヒルの説明とかなんだったのか、最後までわからないし。

とはいうものの、とてもテンポよく読めてとてもとても楽しいです。
現代サスペンスものとして、すごく優秀な1冊。
警察からの視点も「サスペンスもの」っぽさを出すのに必要なのかも。

タイトルにもなっている「スマホを落としただけ」なのが麻美ではなく、麻美の彼氏の「富田君」っていうのが、誰でも被害者になりえることの理不尽さを増長してて、本書の怖さを倍増させているんだと思う。

もしかして、一番の加害者は「富田君」っていう作者のメッセージだとしたら一気にイヤミスになるんですけど、さすがにそれは深読みしすぎだろうな。

2017年 年間ベスト

  1. 村田沙耶香「殺人出産」
  2. 辻村深月「ぼくのメジャースプーン」
  3. ルイス・サッカー「穴」
  4. 梓崎優「叫びと祈り」
  5. 舞城王太郎「煙か土か食い物」
  6. 舞城王太郎「好き好き大好き超愛してる。」
  7. 柾木政宗「N0推理、NO探偵?」
  8. 城平京「虚構推理」
  9. 辻村深月「名前探しの放課後」
  10. 三島由紀夫「命売ります」
  11. 森博嗣「すべてがFになる」
  12. 米澤穂信「満願」
  13. 豊島ミホ「底辺女子高生」
  14. 江戸川乱歩「江戸川乱歩名作選」
  15. 太宰治「人間失格」
  16. 辻村深月「子どもたちは夜と遊ぶ」
  17. 深水黎一郎「五声のリチェルカーレ」
  18. 麻耶雄嵩「貴族探偵」
  19. 朝井リョウ「桐島、部活やめるってよ」
  20. 喜国雅彦「本棚探偵の生還」
  21. 森博嗣「冷たい密室と博士たち」
  22. 西澤保彦「殺意の集う夜」
  23. 野村美月「文学少女と死にたがりの道化」
  24. 森絵都「宇宙のみなしご」
  25. 湊かなえ「山女日記」
  26. 霧舎巧「名探偵はもういない」
  27. 泡坂妻夫「湖底のまつり」
  28. 降田天「女王はかえらない」
  29. 森絵都「気分上々」
  30. 辻村深月「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」
  31. 野村美月「文学少女と飢え渇く幽霊」
  32. 辻村深月「光待つ場所へ」
  33. エドガー・アラン・ポー「黒猫」
  34. 歌野晶午「そして名探偵は生まれた」
  35. 法条遥「忘却のレーテ」
  36. 折原一「グランドマンション」
  37. 辻村深月「ロードムービー」
  38. 瀬尾まいこ「強運の持ち主」
  39. 志駕晃「スマホを落としただけなのに」
  40. 桐山徹也「愚者のスプーンは曲がる」
  41. 峰月皓「七人の王国」
  42. 湊かなえ「母性」
  43. 飯田譲治 梓河人「盗作」
  44. 伊坂幸太郎「残り全部バケーション」
  45. 折原一「遭難者」
  46. 折原一「螺旋館の殺人」
  47. 芦沢央「罪の余白」
  48. 井上夢人「魔法使いの弟子たち」
  49. ジェフリー アーチャー「百万ドルをとり返せ!」
  50. 伊坂幸太郎「首折り男のための協奏曲」
  51. 竹吉優輔「襲名犯」
  52. 湊かなえ「境遇」
  53. 長谷川夕「僕は君を殺せない」
  54. 早坂吝「〇〇〇〇〇〇〇〇殺人事件」
  55. 蘇部健一「六枚のとんかつ」