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東川篤哉「密室の鍵貸します」

密室ものが続きます。
初めての東川篤哉。
ユーモアミステリーかと思ってたらびっくりした。
しっかりと本格ミステリーだった。

と言うと、まるでユーモアミステリーが本格ミステリーよりも位が低い、というように見えてしまうけど、あくまでジャンルというか重きを置いている部分が違うじゃないですか。
ユーモアに重きを置いているのか、トリックに重きを置いているのか。

緊張を持続させていかなければいけない本格ミステリと緊張と緩和を繰り返すユーモアミステリ、相性が悪いはずなんですよ。
この本ではこのユーモアミステリというジャンル自体が読者に対する叙述トリックのようで、テンポの良い会話に引っ張られてスイスイ読んでいく(言葉悪く言うと油断している)とミステリ部分(ハウダニット・ホワイダニット)で驚きが。
こういう驚きを味わいたくてミステリーを読んでるのでうれしい。楽しい。大好き。

あらすじ

しがない貧乏学生・戸村流平にとって、その日は厄日そのものだった。彼を手ひどく振った恋人が、背中を刺され、4階から突き落とされて死亡。その夜、一緒だった先輩も、流平が気づかぬ間に、浴室で刺されて殺されていたのだ!かくして、二つの殺人事件の第一容疑者となった流平の運命やいかに?ユーモア本格ミステリの新鋭が放つ、面白過ぎるデビュー作。
引用:Amazon

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ネタバレありの感想

面白い。
元彼女の由紀の死に関しては完璧なアリバイがあるものの、それを主張すると、密室での茂呂の死に関しての最有力な容疑者となってしまうという、戸村の置かれる状況がとにかく最高。

最初はユーモアミステリとみせかけておいて、次に密室ものの本格だ!とみせかけておいて、アリバイトリックだった。という構成がとても面白い。
会話・文体だけでなく小説としてすごくテンポが良くて盛りだくさんな印象。

密室トリックは、外で刺され、自分の足でアパートに帰り鍵を締め「内出血密室」の完成というとてもシンプルなもの。
それでも全く残念では無いしそれどころか無理がなくて自然だな、と思わせてくれる。

ピスタチオの殻のくだりなど伏線というかヒントの出し方もとても自然なのは、全体的な文体のおかげ。

なにより、真相にたどりつくきっかけが「映画が面白かったから」と言うのが最高。
他ではなかなか無いんじゃなかろうか。

すごくよかったのでシリーズ含めて他の作品も読んでいこう。

2018年 年間ベスト

  1. 西加奈子「ふる」
  2. 鳥飼否宇「死と砂時計」
  3. 宮下奈都「羊と鋼の森」
  4. 天祢涼「キョウカンカク 美しき夜に」
  5. 瀬川コウ「謎好き乙女と奪われた青春」
  6. 筒井康隆「ロートレック荘事件」
  7. 深水黎一郎「テンペスタ 最後の七日間」
  8. 北山猛邦「先生、大事なものが盗まれました」
  9. 伊坂幸太郎「仙台ぐらし」
  10. 東野圭吾「仮面山荘殺人事件」
  11. 有栖川有栖「46番目の密室」
  12. 青崎有吾「体育館の殺人」
  13. 下村敦史「生還者」
  14. 佐藤友哉「子供たち怒る怒る怒る」
  15. 岡嶋二人「そして扉が閉ざされた」
  16. 東野圭吾「ある閉ざされた雪の山荘で」
  17. メグ・ガーディナー「心理検死官ジョー・ベケット」
  18. 瀬尾まいこ「おしまいのデート」
  19. 東野圭吾「放課後」
  20. 長江俊和「出版禁止」
  21. 東川篤哉「密室の鍵貸します」
  22. 東野圭吾「十字屋敷のピエロ」
  23. ネレ・ノイハウス「深い疵」
  24. 折原一「覆面作家」
  25. 浜口倫太郎「22年目の告白-私が殺人犯です-」
  26. ハリイ・ケメルマン「九マイルは遠すぎる」
  27. 首藤瓜於「脳男」
  28. 西澤保彦「麦酒の家の冒険」
  29. カタリーナ・インゲルマン=スンドベリ「犯罪は老人のたしなみ」
  30. 原宏一「床下仙人」
  31. 島田荘司「斜め屋敷の犯罪」
  32. 鯨統一郎「邪馬台国はどこですか?」
  33. 木下半太「鈴木ごっこ」
  34. 高木敦史「演奏しない軽音部と4枚のCD」
  35. 枝松蛍「何様ですか?」
  36. 伊原柊人「隣人の死体は、何曜日に捨てればいいですか?」
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Book | 2018年5月8日