Nobutake
Dogen.com

深水黎一郎「テンペスタ 最後の七日間」

「最後のトリック」で知り、「さすがにどうなのよ」って思ったものの「人間の尊厳と八〇〇メートル」がとても素晴らしく、「五声のリチェルカーレ」もすごく良くて、深水黎一郎すげえぞ!って思っていた作家さん。
ゴリゴリのミステリー作家だと思っていて、そういうのを期待していたら裏切られた。
ユーモア小説だこれ。でも最高だった。いい裏切りだった。
思い出しただけでちょっと泣けてくるほどいい小説だった。

期待したものと違う雰囲気でも一気に読めたのは、作者の力量。
小学四年生のミドリのキャラが奔放すぎるのに、どこか説得力や愛嬌があってドンドンとミドリに惹かれていってしまった。

あらすじ

東京で美術の非常勤講師を務める賢一は、田舎に住む弟の依頼で一人娘を一週間預かることに。駅で待っていたのは、小学四年生の美少女・ミドリ。毒舌全開、自由奔放なミドリに圧倒されながらも刺激を受ける賢一。徐々に距離を縮める二人に、刻々と予想外の出来事が忍びより――。二人の掛け合いと怒濤の展開に目が離せない一気読みミステリー。
引用:Amazon

Amazon.co.jpで買う
テンペスタ 最後の七日間 (幻冬舎文庫)
  • 深水 黎一郎
  • 価格   ¥ 788
  • 販売者 Amazon.co.jp
Amazon

ネタバレありの感想

頭の回転が早く、純粋すぎる正義感を持ったミドリと美術の非常勤講師の賢一の七日間。
序盤、というかほとんど終盤ごろまではミドリのワガママに賢一が困るだけ。それでも、どんどん読ませるのは不思議。
どうやら、連続誘拐事件が起こっているようだがそれもメインストーリーにはなかなか絡んでこないまま、小説は終盤へ。
終盤にミドリが誘拐?となるがそれも異例のスピードで解決。
かと思いきや。と、終盤の畳み掛けがすごい。

ただのドタバタコメディに見えていた序盤も、実際は伏線を張りまくっていた。
わかりやすい伏線もあれば、暗示とも思えるようなものまで。

ミドリが「テンペスタ」の解釈として「愛し合っているのに結婚できない2人」みたいな台詞があるんですけど、これも暗示としての伏線なのか、それともミドリが母である百合子の真相に気付いていたのか。
ミドリの頭の良さだと気付いていたような気もしてしまう。
ミドリが苗字を大事にしたいと思っていた所とか、「血<苗字」というわけではないのかもしれないけど、父である竜二とのつながりも大事にしたかったんじゃないのかな、とかまで想像しちゃうとまた泣きそうになる。

こういうタイプの小説まで書けるのか深水黎一郎。大好きだ。

2018年 年間ベスト

  1. 詠坂雄二「電氣人間の虞」
  2. 西加奈子「ふる」
  3. 鳥飼否宇「死と砂時計」
  4. 西加奈子「漁港の肉子ちゃん」
  5. 中村文則「遮光」
  6. 宮下奈都「羊と鋼の森」
  7. 筒井康隆「朝のガスパール」
  8. 北山猛邦「私たちが星座を盗んだ理由」
  9. 天祢涼「キョウカンカク 美しき夜に」
  10. 井上真偽「その可能性はすでに考えた」
  11. 井上真偽「探偵が早すぎる」
  12. 江國香織「流しのしたの骨」
  13. 瀬川コウ「謎好き乙女と奪われた青春」
  14. 竹本健治「涙香迷宮」
  15. 下村敦史「闇に香る嘘」
  16. 中村文則「何もかも憂鬱な夜に」
  17. 筒井康隆「ロートレック荘事件」
  18. 本谷有希子「グ、ア、ム」
  19. 野村美月「文学少女と繋がれた愚者」
  20. 豊島ミホ「初恋素描帖」
  21. 野村美月「文学少女と慟哭の巡礼者」
  22. 野村美月「晴追町には、ひまりさんがいる。はじまりの春は犬を連れた人妻と」
  23. 深水黎一郎「ミステリー・アリーナ」
  24. 連城三紀彦「戻り川心中」
  25. 野村美月「文学少女と月花を孕く水妖」
  26. 深水黎一郎「テンペスタ 最後の七日間」
  27. 北山猛邦「先生、大事なものが盗まれました」
  28. 伊坂幸太郎「仙台ぐらし」
  29. 辻村深月「盲目的な恋と友情」
  30. 竹宮ゆゆこ「おまえのすべてが燃え上がる」
  31. 法月綸太郎「ノックス・マシン」
  32. 辻村深月「鍵のない夢を見る」
  33. 野村美月「文学少女と死にたがりの道化」
  34. 青山七恵「魔法使いクラブ」
  35. 又吉直樹「火花」
  36. クレア・ノース「ハリー・オーガスト、15回目の人生」
  37. 野村美月「文学少女と穢名の天使」
  38. 伊坂幸太郎「オーデュボンの祈り」
  39. 辻村深月「ハケンアニメ!」
  40. 東野圭吾「仮面山荘殺人事件」
  41. 有栖川有栖「46番目の密室」
  42. 岸田るり子「出口のない部屋」
  43. 青崎有吾「体育館の殺人」
  44. 下村敦史「生還者」
  45. 野村美月「文学少女と飢え渇く幽霊」
  46. 村田沙耶香「コンビニ人間」
  47. 東野圭吾「鳥人計画」
  48. 木内一裕「デッドボール」
  49. 佐藤友哉「子供たち怒る怒る怒る」
  50. 山口雅也「PLAY プレイ」
  51. 森絵都「カラフル」
  52. 井上荒野「あなたの獣」
  53. 東野圭吾「どちらかが彼女を殺した」
  54. 岡嶋二人「そして扉が閉ざされた」
  55. 東野圭吾「ある閉ざされた雪の山荘で」
  56. 早見和馬「イノセント・デイズ」
  57. 辻村深月「水底フェスタ」
  58. 櫛木理宇「死刑にいたる病」
  59. メグ・ガーディナー「心理検死官ジョー・ベケット」
  60. 瀬尾まいこ「おしまいのデート」
  61. 竹宮ゆゆこ「あしたはひとりにしてくれ」
  62. 連城三紀彦「夜よ鼠たちのために」
  63. 伊坂幸太郎「火星に住むつもりかい?」
  64. 筒井康隆「虚人たち」
  65. 西澤保彦「殺す」
  66. 東野圭吾「放課後」
  67. 長江俊和「出版禁止」
  68. 東川篤哉「密室の鍵貸します」
  69. 倉知淳「星降り山荘の殺人」
  70. 東野圭吾「十字屋敷のピエロ」
  71. 西村京太郎「殺しの双曲線」
  72. 中町信「暗闇の殺意」
  73. 秋吉理香子「暗黒女子」
  74. ネレ・ノイハウス「深い疵」
  75. 折原一「覆面作家」
  76. 恩田陸「木漏れ日に泳ぐ魚」
  77. 豊島ミホ「陽の子雨の子」
  78. 法月綸太郎「雪密室」
  79. 芦沢央「悪いものが、来ませんように」
  80. 恒川光太郎「夜市」
  81. 河野裕「最良の嘘の最後のひと言」
  82. 円城塔「オブ・ザ・ベースボール」
  83. 乾くるみ「嫉妬事件」
  84. 山本甲士「ひなた弁当」
  85. 大石圭「人を殺す、という仕事」
  86. 瀬尾まいこ「温室デイズ」
  87. 瀬尾まいこ「僕らのごはんは明日で待ってる」
  88. 歌野晶午「女王様と私」
  89. 浜口倫太郎「22年目の告白-私が殺人犯です-」
  90. 井上夢人「あわせ鏡に飛び込んで」
  91. 首藤瓜於「刑事の墓場」
  92. 相沢沙呼「午前零時のサンドリヨン」
  93. 大島真寿美「ふじこさん」
  94. ハリイ・ケメルマン「九マイルは遠すぎる」
  95. 綾辻行人「どんどん橋、落ちた」
  96. L・M・モンゴメリ「赤毛のアン」
  97. 首藤瓜於「脳男」
  98. 西澤保彦「麦酒の家の冒険」
  99. 山崎洋子「三階の魔女」
  100. 青柳碧人「西川麻子は地理が好き。」
  101. カタリーナ・インゲルマン=スンドベリ「犯罪は老人のたしなみ」
  102. 湊かなえ「豆の上で眠る」
  103. 野中柊「小春日和」
  104. 新藤卓広「秘密結社にご注意を」
  105. 原宏一「床下仙人」
  106. 島田荘司「斜め屋敷の犯罪」
  107. ジェーン・スー「貴様いつまで女子でいるつもりだ問題」
  108. 折原一「耳すます部屋」
  109. 竹内雄紀「悠木まどかは神かもしれない」
  110. 長江俊和「掲載禁止」
  111. 七月隆文「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」
  112. 鯨統一郎「邪馬台国はどこですか?」
  113. 木下半太「鈴木ごっこ」
  114. 香月日輪「桜大の不思議の森」
  115. 高木敦史「演奏しない軽音部と4枚のCD」
  116. 遠藤武文「トリック・シアター」
  117. 松田道弘「トリックのある部屋―私のミステリ案内」
  118. 伊原柊人「隣人の死体は、何曜日に捨てればいいですか?」
  119. 川村元気「世界から猫が消えたなら」
  120. 村田治「名探偵は推理しない」