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西加奈子「ふる」

これも金沢旅行に持っていった本。途中途中で立ち寄った喫茶店やホテルで読む読む。
初の西加奈子だったんですけど、最高だ。
これまで読んでこなかったことを後悔してるし、これから読めることを喜んでいる。

あらすじ

池井戸花しす、二十八歳。職業はアダルトビデオへのモザイクがけ、趣味はICレコーダーでの隠し録り。「いつだってオチでいたい」と望み、過去を愛おしみ、誰の感情も害さないことにひっそり全力を注ぐ毎日だった。だがそんな彼女に訪れた変化とは―。過去、現在、そして未来が、新しい「今」とつながる、奇跡の物語。
引用:BOOKデータベース

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ネタバレありの感想

これが初の西加奈子なので見当外れかもしれない。
それでも、思ったのはこの小説は花しすという媒体を通した西加奈子の私小説なんじゃないか。と。
それくらいのリアリティを感じた。
情景やキャラクターや設定や話の展開ではなく、花しすの視点にすごいリアリティを感じた。

「いつだってオチでいたい。」

なんて素晴らしいセリフだ。

「花しす」の現在と過去を交互に章立てた構成で、その時代ごとに現れる「新田人生」やその他のキャラクターたち。
全ての登場人物に「いのち」が宿っているんだけど、その中で「新田人生」にのみ「いのち」を感じない。それは、読んでいる途中では「なぜまた新田人生が?」とか「新田人生って何かの象徴なのか?」とか余計なことを考えてしまうせいなんだろうと思う。

白いふわふわとしたものの正体など、はっきりとした答えを出している小説ではないんですけど、西加奈子が後書きでも言っている通り「いのち」について書いてあるとしたらそりゃ、答えなんて出るわけがない。
というより、答えが出ないことこそが生きるということなんじゃなかろうか、なんてことまで思わせてくれる。

尖った作家なのかな、ってずっと先入観があったんですけどこんなに読み易く、ちゃんと尖ってもいるなんて、最高だ。
大好きだ。
大好きだ西加奈子。

2018年 年間ベスト

  1. 西加奈子「ふる」
  2. 鳥飼否宇「死と砂時計」
  3. 宮下奈都「羊と鋼の森」
  4. 筒井康隆「朝のガスパール」
  5. 天祢涼「キョウカンカク 美しき夜に」
  6. 井上真偽「その可能性はすでに考えた」
  7. 井上真偽「探偵が早すぎる」
  8. 瀬川コウ「謎好き乙女と奪われた青春」
  9. 竹本健治「涙香迷宮」
  10. 筒井康隆「ロートレック荘事件」
  11. 野村美月「文学少女と繋がれた愚者」
  12. 野村美月「文学少女と慟哭の巡礼者」
  13. 野村美月「文学少女と神に臨む作家」
  14. 野村美月「文学少女と月花を孕く水妖」
  15. 深水黎一郎「テンペスタ 最後の七日間」
  16. 北山猛邦「先生、大事なものが盗まれました」
  17. 伊坂幸太郎「仙台ぐらし」
  18. 辻村深月「盲目的な恋と友情」
  19. 辻村深月「鍵のない夢を見る」
  20. 野村美月「文学少女と死にたがりの道化」
  21. 野村美月「文学少女と穢名の天使」
  22. 伊坂幸太郎「オーデュボンの祈り」
  23. 辻村深月「ハケンアニメ!」
  24. 東野圭吾「仮面山荘殺人事件」
  25. 有栖川有栖「46番目の密室」
  26. 青崎有吾「体育館の殺人」
  27. 下村敦史「生還者」
  28. 野村美月「文学少女と飢え渇く幽霊」
  29. 木内一裕「デッドボール」
  30. 佐藤友哉「子供たち怒る怒る怒る」
  31. 森絵都「カラフル」
  32. 井上荒野「あなたの獣」
  33. 東野圭吾「どちらかが彼女を殺した」
  34. 岡嶋二人「そして扉が閉ざされた」
  35. 東野圭吾「ある閉ざされた雪の山荘で」
  36. メグ・ガーディナー「心理検死官ジョー・ベケット」
  37. 瀬尾まいこ「おしまいのデート」
  38. 竹宮ゆゆこ「あしたはひとりにしてくれ」
  39. 伊坂幸太郎「火星に住むつもりかい?」
  40. 西澤保彦「殺す」
  41. 東野圭吾「放課後」
  42. 長江俊和「出版禁止」
  43. 東川篤哉「密室の鍵貸します」
  44. 倉知淳「星降り山荘の殺人」
  45. 東野圭吾「十字屋敷のピエロ」
  46. 秋吉理香子「暗黒女子」
  47. ネレ・ノイハウス「深い疵」
  48. 折原一「覆面作家」
  49. 恩田陸「木漏れ日に泳ぐ魚」
  50. 大石圭「人を殺す、という仕事」
  51. 浜口倫太郎「22年目の告白-私が殺人犯です-」
  52. ハリイ・ケメルマン「九マイルは遠すぎる」
  53. 綾辻行人「どんどん橋、落ちた」
  54. 首藤瓜於「脳男」
  55. 西澤保彦「麦酒の家の冒険」
  56. 青柳碧人「西川麻子は地理が好き。」
  57. カタリーナ・インゲルマン=スンドベリ「犯罪は老人のたしなみ」
  58. 原宏一「床下仙人」
  59. 島田荘司「斜め屋敷の犯罪」
  60. 折原一「耳すます部屋」
  61. 七月隆文「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」
  62. 鯨統一郎「邪馬台国はどこですか?」
  63. 木下半太「鈴木ごっこ」
  64. 高木敦史「演奏しない軽音部と4枚のCD」
  65. 遠藤武文「トリック・シアター」
  66. 伊原柊人「隣人の死体は、何曜日に捨てればいいですか?」
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Book | 2018年2月27日