Nobutake Dogen.com

筒井康隆「ロートレック荘事件」

筒井康隆大好き。
SFって普段あんまり読まないジャンルなんですけど、筒井康隆と小川一水は好き。
そんな筒井康隆の数少ない推理小説。
「富豪刑事」といい、筒井康隆の推理小説は最高だ。もっと書いて欲しいよ。

あらすじ

夏の終わり、郊外の瀟洒な洋館に将来を約束された青年たちと美貌の娘たちが集まった。ロートレックの作品に彩られ、優雅な数日間のバカンスが始まったかに見えたのだが…。二発の銃声が惨劇の始まりを告げた。一人また一人、美女が殺される。邸内の人間の犯行か?アリバイを持たぬ者は?動機は?推理小説史上初のトリックが読者を迷宮へと誘う。
引用:「BOOK」データベース

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感想

とてもフェアだ。
叙述ミステリとしての最高峰に位置する。
叙述ミステリ、しかもかなりの大技使っている、というのはわかっていて読んでも存分に楽しめる。
そもそもあらすじに「前人未到のメタ・ミステリー。」とまで書かれてしまっている。
もしもまだ読んでいなくて、トリックとか知らないのであれば、今すぐにでも読むべき。

感想(ネタバレあり)

語り手を隠すタイプの叙述ミステリ。
部屋の見取り図で「もしや浜口と重樹は別人では?」と思ってしまうんだけど、美女三人のキャラクターや人間関係、ロートレック荘の雰囲気などで単純に読み物として面白くグイグイ読み進んでしまい、文章に散りばめられている違和感にも気付けなかった。

最後の独白も今読むと少し長く感じ、読者に対してやけに親切でこの時代まだ叙述トリックが一般的なものではなかったんだろうな、と想像できる。
そんな時代にこれだけの完成度のものを書くなんて、筒井康隆はやっぱり天才だ。

筒井康隆の引き出しの多彩さ、身体障碍者と差別問題に対する想いなど、やっぱりミステリこそ、エンターテイメントに一番ふさわしいジャンルだな、と思わされる名作だ。
そして筒井康隆は極上のエンターテイメント作家でありながらも素晴らしき文学者だ。

2018年 年間ベスト

  1. 西加奈子「ふる」
  2. 鳥飼否宇「死と砂時計」
  3. 宮下奈都「羊と鋼の森」
  4. 天祢涼「キョウカンカク 美しき夜に」
  5. 筒井康隆「ロートレック荘事件」
  6. 深水黎一郎「テンペスタ 最後の七日間」
  7. 北山猛邦「先生、大事なものが盗まれました」
  8. 青崎有吾「体育館の殺人」
  9. 下村敦史「生還者」
  10. 東野圭吾「ある閉ざされた雪の山荘で」
  11. メグ・ガーディナー「心理検死官ジョー・ベケット」
  12. 瀬尾まいこ「おしまいのデート」
  13. 長江俊和「出版禁止」
  14. 東野圭吾「十字屋敷のピエロ」
  15. ネレ・ノイハウス「深い疵」
  16. 折原一「覆面作家」
  17. 浜口倫太郎「22年目の告白-私が殺人犯です-」
  18. ハリイ・ケメルマン「九マイルは遠すぎる」
  19. 首藤瓜於「脳男」
  20. カタリーナ・インゲルマン=スンドベリ「犯罪は老人のたしなみ」
  21. 原宏一「床下仙人」
  22. 高木敦史「演奏しない軽音部と4枚のCD」
  23. 枝松蛍「何様ですか?」
  24. 伊原柊人「隣人の死体は、何曜日に捨てればいいですか?」
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Book | 2018年2月8日