桐山徹也「愚者のスプーンは曲がる」

キャッチーなタイトル、と帯に書かれた『”サイキック・ウォー”か”壮大なドッキリ”か。』が、とても目を引く。
中身もとてもキャッチーで読みやすい小説。
「このミス大賞2017」の隠し玉ということなんですが、ミステリーとしてはいまいち。
でも、エンタメ小説としてはとても楽しめた。

あらすじ

子どもの頃からとことんツイていない町田瞬はある日、
銃を所持した超能力者(らしい)二人組に突然拉致される。
彼らは組織の命令で、危険な能力を持つ(らしい)瞬を殺しに来たのだという。
その能力とは、超能力を「無効化」するというもの(らしい)。
つまり、瞬の前では能力者による超常現象は発生しない(らしい)――。
果たして超能力は存在するのか、しないのか?
「これは大掛かりなドッキリだ」と思いながらも、
ひょんなことから『超常現象調査機構』のメンバーとなった瞬は、
やがて能力者をめぐる奇怪な事件に巻き込まれていく……。
引用:Amazon「愚者のスプーンは曲がる」

ネタバレありの感想

あらすじからすでに、ラノベっぽい。
変なキャラクターもどんどん出てきて漫画っぽさもありつつ。
漫画的な小説をラノベって捉えている人もいますが、僕の中ではちょっと違うけど、これを語ると長くなるので、それはまたいつか、きっと。

超能力を「無効化」する能力を持った主人公の町田瞬の視点だけで物語が進んでいくのはよかった。
このような、群像劇的な作品だと、えてして視点をコロコロ変えて、目くらましだったり、それぞれのキャラクターの考えを見せることも多いけど、やはり一人に絞ると読みやすいし、感情移入もしやすい。
そして、超能力を直接描けない制約のせいで『”サイキック・ウォー”か”壮大なドッキリ”か。』というところにずっとワクワクしながら読み進められるし「代償」も無効化できるおかげでキャラクターに人間性がとても出ていた。

とにかく残念なのが『”サイキック・ウォー”か”壮大なドッキリ”か。』の答えが出ていないところ。
そこになんらかの解決を見せるのがミステリーなんじゃないかと思うけど・・・

映像化に向いてそうというか、作者が映画が好きなんじゃ無いかな。
映画化したら見たい。して欲しい。

60点
くらいかな。

2017年 年間ベスト

  1. 村田沙耶香「殺人出産」
  2. 辻村深月「ぼくのメジャースプーン」
  3. ルイス・サッカー「穴」
  4. 梓崎優「叫びと祈り」
  5. 舞城王太郎「煙か土か食い物」
  6. 舞城王太郎「好き好き大好き超愛してる。」
  7. 柾木政宗「N0推理、NO探偵?」
  8. 城平京「虚構推理」
  9. 辻村深月「名前探しの放課後」
  10. 三島由紀夫「命売ります」
  11. 森博嗣「すべてがFになる」
  12. 米澤穂信「満願」
  13. 豊島ミホ「底辺女子高生」
  14. 江戸川乱歩「江戸川乱歩名作選」
  15. 太宰治「人間失格」
  16. 辻村深月「子どもたちは夜と遊ぶ」
  17. 深水黎一郎「五声のリチェルカーレ」
  18. 麻耶雄嵩「貴族探偵」
  19. 朝井リョウ「桐島、部活やめるってよ」
  20. 喜国雅彦「本棚探偵の生還」
  21. 森博嗣「冷たい密室と博士たち」
  22. 西澤保彦「殺意の集う夜」
  23. 野村美月「文学少女と死にたがりの道化」
  24. 森絵都「宇宙のみなしご」
  25. 湊かなえ「山女日記」
  26. 霧舎巧「名探偵はもういない」
  27. 泡坂妻夫「湖底のまつり」
  28. 降田天「女王はかえらない」
  29. 森絵都「気分上々」
  30. 辻村深月「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」
  31. 野村美月「文学少女と飢え渇く幽霊」
  32. 辻村深月「光待つ場所へ」
  33. エドガー・アラン・ポー「黒猫」
  34. 歌野晶午「そして名探偵は生まれた」
  35. 法条遥「忘却のレーテ」
  36. 折原一「グランドマンション」
  37. 辻村深月「ロードムービー」
  38. 瀬尾まいこ「強運の持ち主」
  39. 志駕晃「スマホを落としただけなのに」
  40. 桐山徹也「愚者のスプーンは曲がる」
  41. 峰月皓「七人の王国」
  42. 湊かなえ「母性」
  43. 飯田譲治 梓河人「盗作」
  44. 伊坂幸太郎「残り全部バケーション」
  45. 折原一「遭難者」
  46. 折原一「螺旋館の殺人」
  47. 芦沢央「罪の余白」
  48. 井上夢人「魔法使いの弟子たち」
  49. ジェフリー アーチャー「百万ドルをとり返せ!」
  50. 伊坂幸太郎「首折り男のための協奏曲」
  51. 竹吉優輔「襲名犯」
  52. 湊かなえ「境遇」
  53. 長谷川夕「僕は君を殺せない」
  54. 早坂吝「〇〇〇〇〇〇〇〇殺人事件」
  55. 蘇部健一「六枚のとんかつ」