竹吉優輔「襲名犯」

江戸川乱歩賞受賞作のミステリーというよりはサスペンス。
タイトルなんかいい。

あらすじ

関東の地方都市で起きた連続猟奇殺人事件。ルイス・キャロルの詩に関連して、ネットの住人から「ブージャム」と英雄視された犯人は、6人を殺害した後、死刑が執行された。事件から14年後。突如として同じ手口の犯行が始まった。小指を切り取られた女性の惨殺体。「ブージャム」を名乗る血塗られた落書き。かつての被害者、南條信の双子の弟、南條仁のもとへ「襲名犯」からのメッセージが届けられる…
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襲名犯 (講談社文庫)
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ネタバレありの感想

読書メーター見ると、いまいち評判良くないですね。
江戸川乱歩賞でハードルが上がったせいか、それともみんな犯人当てが好きなのか。
もちろん僕もハードル上げてたし、犯人当て大好き。

犯人当てものとしては簡単というか主要な登場人物が少ないので消去法で予想がついてしまう。
ハウダニット(どうやったか)ではなく、ホワイダニット(何故やったか)がメインになると、当然主要な登場人物でなくては、つまらないもんね。
回想での「信」のように見せていた視点が「信」ではなかったところなんかもドンデン返しがしたいんじゃなくて、「信」のキャラクターをもっとよく理解させるための救いのための装置だと思います。

不謹慎と言われようが、猟奇的な殺人事件を題材にしたフィクションはどうしても好きだし、実生活でも興味をもってしまう。
あと、宗教も好きな題材の一つ。
閑話休題。
他の方の感想でもちょこちょこある「ブージャムが魅力的ではない」というのは確かにうなづける。キャラクターがちょっと弱いですよね。
そうなると、そのブージャムに魅せられた犯人もいまいち、魅力や迫力が無くなってしまっているし、小説としての説得力や教官力も欠けてしまう。

魅力的ではないのは、犯人側だけでなく、主人公である「仁」も。
彼が無気力だったり、人間性が欠けているのは生いたちを考えるとしょうがないとしても、あれだけ仲間・友人に恵まれているのであれば、表面上はもっと「いいやつ・楽しいやつ」でもよかったのでは?と。

初代「ブージャム」だけで1冊あってからの今作だったらもっとのめりこめたと思う。
残念だけど、全体的にはいい雰囲気とテンポ良さなどで、好きな作品。

2017年 年間ベスト

  1. 村田沙耶香「殺人出産」
  2. 辻村深月「ぼくのメジャースプーン」
  3. ルイス・サッカー「穴」
  4. 梓崎優「叫びと祈り」
  5. 舞城王太郎「煙か土か食い物」
  6. 舞城王太郎「好き好き大好き超愛してる。」
  7. 柾木政宗「N0推理、NO探偵?」
  8. 城平京「虚構推理」
  9. 辻村深月「名前探しの放課後」
  10. 三島由紀夫「命売ります」
  11. 森博嗣「すべてがFになる」
  12. 米澤穂信「満願」
  13. 豊島ミホ「底辺女子高生」
  14. 江戸川乱歩「江戸川乱歩名作選」
  15. 太宰治「人間失格」
  16. 辻村深月「子どもたちは夜と遊ぶ」
  17. 深水黎一郎「五声のリチェルカーレ」
  18. 麻耶雄嵩「貴族探偵」
  19. 朝井リョウ「桐島、部活やめるってよ」
  20. 喜国雅彦「本棚探偵の生還」
  21. 森博嗣「冷たい密室と博士たち」
  22. 西澤保彦「殺意の集う夜」
  23. 野村美月「文学少女と死にたがりの道化」
  24. 森絵都「宇宙のみなしご」
  25. 湊かなえ「山女日記」
  26. 霧舎巧「名探偵はもういない」
  27. 泡坂妻夫「湖底のまつり」
  28. 降田天「女王はかえらない」
  29. 森絵都「気分上々」
  30. 辻村深月「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」
  31. 野村美月「文学少女と飢え渇く幽霊」
  32. 辻村深月「光待つ場所へ」
  33. エドガー・アラン・ポー「黒猫」
  34. 歌野晶午「そして名探偵は生まれた」
  35. 法条遥「忘却のレーテ」
  36. 折原一「グランドマンション」
  37. 辻村深月「ロードムービー」
  38. 瀬尾まいこ「強運の持ち主」
  39. 志駕晃「スマホを落としただけなのに」
  40. 桐山徹也「愚者のスプーンは曲がる」
  41. 峰月皓「七人の王国」
  42. 湊かなえ「母性」
  43. 飯田譲治 梓河人「盗作」
  44. 伊坂幸太郎「残り全部バケーション」
  45. 折原一「遭難者」
  46. 折原一「螺旋館の殺人」
  47. 芦沢央「罪の余白」
  48. 井上夢人「魔法使いの弟子たち」
  49. ジェフリー アーチャー「百万ドルをとり返せ!」
  50. 伊坂幸太郎「首折り男のための協奏曲」
  51. 竹吉優輔「襲名犯」
  52. 湊かなえ「境遇」
  53. 長谷川夕「僕は君を殺せない」
  54. 早坂吝「〇〇〇〇〇〇〇〇殺人事件」
  55. 蘇部健一「六枚のとんかつ」