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森博嗣「すべてがFになる」

なぜか読んだ気になってて、しかも「苦手」だと思っていた本。
NO推理,NO探偵?」読んで、「メフィスト賞やっぱ面白いし、もう一回読んでみるか」と思って本棚から引っ張り出して読んだら未読だった。
絶対に未読だった。
もったい無いことをした、素晴らしい1冊だし、この1冊でも素晴らしいミステリィ作家だとわかる。

あらすじ

密室から飛び出した死体。究極の謎解きミステリィ。
コンピュータに残されたメッセージに挑む犀川助教授とお嬢様学生・萌絵。
孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士・真賀田四季(まがたしき)。彼女の部屋からウエディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。偶然、島を訪れていたN大助教授・犀川創平(さいかわそうへい)と女子学生・西之園萌絵(にしのそのもえ)が、この不可思議な密室殺人に挑む。新しい形の本格ミステリィ登場。
引用:Amazon

感想(ネタバレあり)

いやぁ、すごい。
めちゃめちゃ面白かった。

この小説の発表が1996年だそうで、21年前!?
この時代にコンピューターを使ったトリックってちょっと卑怯な気もしないでも無いですが、小説に時代は関係無いという考えだと、とてもフェアだし、さすが天才って感じだ。

親殺し、子殺し、多重人格、孤島、密室、連続殺人と本格ミステリィ要素てんこ盛りで、ミステリィ好きにはたまんない設定。
そしてそこに対するアンチテーゼとしてなんでしょうけど、中国人を登場させたり、登場人物の言葉を借りてノックスの十戒に触れたり。

西尾維新に多大な影響を与えたということもあって、キャラクター造形も素晴らしく、特に天才の描き方が大好き。大好物。
森博嗣も工学博士という肩書きで、間近で天才を見る機会があったりするのかな、やっぱり。
そして森博嗣の天才の描き方を見ると、天才に対しての憧れや、尊敬が感じられる。
そうやって生み出されたであろうキャラクターはやっぱり魅力的だ。

犯人の四季の部屋からの脱出と、システム「レッドマジック」の暴走。
その2つとも「トロイの木馬」という一つのトリックでやりきったのは見事。
大がかかりなのにシンプルなトリック美しい。

最終章の犀川の思い出の西之園先生があまりに魅力的で、西之園先生のエピソードもっと読みたくなる。
続編で出てきてくれたりするのかな。

四季の願いである「他人に殺されたい」という感覚。
僕個人的にすごくよくわかるんですよ。
本当にネガティブな感覚ではなくて、何かを終わりにしたいと思うことはもちろん色々なタイミングであるし、それを終わらせるのなら誰かの手を借りたい。誰かに委ねたい。という感覚。
とても自然な感覚だと思います。

続編も読もう。
絶対読もう。
それまでは殺されたく無い。

Book | 2017年10月7日