森博嗣「すべてがFになる」

何故か読んだ気になってて、しかも何故か「苦手」だと思っていた本。
NO推理,NO探偵?」読んで、「メフィスト賞やっぱ面白いし、もう一回読んでみるか」と思って本棚から引っ張り出して読んだら未読だった。
絶対に、確実に未読だった。
何も覚えていない、とかではなくて見覚えが無い。完全に初対面だった。設定もキャラクターも何もかもだ。
もったい無いことをした、素晴らしい1冊だし、この1冊でも素晴らしいミステリィ作家だとわかる。

あらすじ

密室から飛び出した死体。究極の謎解きミステリィ。
コンピュータに残されたメッセージに挑む犀川助教授とお嬢様学生・萌絵。
孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士・真賀田四季(まがたしき)。彼女の部屋からウエディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。偶然、島を訪れていたN大助教授・犀川創平(さいかわそうへい)と女子学生・西之園萌絵(にしのそのもえ)が、この不可思議な密室殺人に挑む。新しい形の本格ミステリィ登場。
引用:Amazon

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すべてがFになる (講談社文庫)
  • 森 博嗣
  • 価格   ¥ 853
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ネタバレありの感想

いやぁ、すごい。
めちゃめちゃ面白かった。
さすがメフィスト賞と言いたくなる。

この小説の発表が1996年だそうで、21年前!?
この時代にコンピューターを使ったトリックってちょっと卑怯な気もしないでも無いですが、小説に時代は関係無いという考えだと、とてもフェアだし、さすが天才って感じだ。

親殺し、子殺し、多重人格、孤島、密室、連続殺人と本格ミステリィ要素てんこ盛りで、ミステリィ好きにはたまんない設定。
そしてそこに対するアンチテーゼとしてなんでしょうけど、中国人を登場させたり、登場人物の言葉を借りてノックスの十戒に触れていたりも。

西尾維新に多大な影響を与えたということもあって、キャラクター造形も素晴らしく、特に”天才”の描き方が大好き。大好物。
森博嗣も工学博士という肩書きで、間近で天才を見る機会があったりするのかな、やっぱり。
そして森博嗣の天才の描き方を見ると、天才に対しての憧れや、尊敬が感じられる。
憧れや尊敬から生み出されたであろうキャラクターはやっぱり魅力的だ。

犯人である四季の部屋からの脱出と、システム「レッドマジック」の暴走。
その2つとも「トロイの木馬」という一つのトリックでやりきったのは見事。
大がかかりなのにシンプルなトリックで美しい。

最終章の犀川の思い出の西之園先生があまりに魅力的で、西之園先生のエピソードもっと読みたくなる。
続編で出てきてくれたりするのかな。

四季の願いである「他人に殺されたい」という感覚。
僕個人的にすごくよくわかるんですよ。
本当にネガティブな感覚ではなくて、何かを終わりにしたいと思うことはもちろん色々なタイミングであるし、それを終わらせるのなら誰かの手を借りたい。誰かに委ねたい。という感覚。
とても自然な感覚だと思います。

続編も読もう。
絶対読もう。
それまでは殺されたく無い。

2017年 年間ベスト

  1. 村田沙耶香「殺人出産」
  2. 辻村深月「ぼくのメジャースプーン」
  3. ルイス・サッカー「穴」
  4. 梓崎優「叫びと祈り」
  5. 舞城王太郎「煙か土か食い物」
  6. 舞城王太郎「好き好き大好き超愛してる。」
  7. 柾木政宗「N0推理、NO探偵?」
  8. 城平京「虚構推理」
  9. 辻村深月「名前探しの放課後」
  10. 三島由紀夫「命売ります」
  11. 森博嗣「すべてがFになる」
  12. 米澤穂信「満願」
  13. 豊島ミホ「底辺女子高生」
  14. 江戸川乱歩「江戸川乱歩名作選」
  15. 太宰治「人間失格」
  16. 辻村深月「子どもたちは夜と遊ぶ」
  17. 深水黎一郎「五声のリチェルカーレ」
  18. 麻耶雄嵩「貴族探偵」
  19. 朝井リョウ「桐島、部活やめるってよ」
  20. 喜国雅彦「本棚探偵の生還」
  21. 森博嗣「冷たい密室と博士たち」
  22. 西澤保彦「殺意の集う夜」
  23. 野村美月「文学少女と死にたがりの道化」
  24. 森絵都「宇宙のみなしご」
  25. 湊かなえ「山女日記」
  26. 霧舎巧「名探偵はもういない」
  27. 泡坂妻夫「湖底のまつり」
  28. 降田天「女王はかえらない」
  29. 森絵都「気分上々」
  30. 辻村深月「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」
  31. 野村美月「文学少女と飢え渇く幽霊」
  32. 辻村深月「光待つ場所へ」
  33. エドガー・アラン・ポー「黒猫」
  34. 歌野晶午「そして名探偵は生まれた」
  35. 法条遥「忘却のレーテ」
  36. 折原一「グランドマンション」
  37. 辻村深月「ロードムービー」
  38. 瀬尾まいこ「強運の持ち主」
  39. 志駕晃「スマホを落としただけなのに」
  40. 桐山徹也「愚者のスプーンは曲がる」
  41. 峰月皓「七人の王国」
  42. 湊かなえ「母性」
  43. 飯田譲治 梓河人「盗作」
  44. 伊坂幸太郎「残り全部バケーション」
  45. 折原一「遭難者」
  46. 折原一「螺旋館の殺人」
  47. 芦沢央「罪の余白」
  48. 井上夢人「魔法使いの弟子たち」
  49. ジェフリー アーチャー「百万ドルをとり返せ!」
  50. 伊坂幸太郎「首折り男のための協奏曲」
  51. 竹吉優輔「襲名犯」
  52. 湊かなえ「境遇」
  53. 長谷川夕「僕は君を殺せない」
  54. 早坂吝「〇〇〇〇〇〇〇〇殺人事件」
  55. 蘇部健一「六枚のとんかつ」