芦沢央「罪の余白」

映画化されてたんですね。
映画に向いてそう。映画も見てみようと思う。
原作は普通。

芦沢央さん、これがデビュー作なのか。
文章は自然で読みやすいのに、気にかかってしまうアクセントを所々に置いていて、それが独特の心地よい気持ち悪さを生んでいて、独特な読後感。
きっと好きな方な作家だ。
他のも読んでみよう。

あらすじ

どうしよう、お父さん、わたし、死んでしまう―。安藤の娘、加奈が学校で転落死した。「全然悩んでいるようには見えなかった」。クラスメートからの手紙を受け取った安藤の心に、娘が死を選んだ本当の理由を知りたい、という思いが強く芽生える。安藤の家を弔問に訪れた少女、娘の日記を探す安藤。二人が出遭った時、悪魔の心が蠢き出す…。女子高生達の罪深い遊戯、娘を思う父の暴走する心を、サスペンスフルに描く!
引用:Amazon「罪の余白」

ネタバレありの感想

妻を亡くし、唯一の糧であった娘も失ってしまった聡は最後まで理性を捨てきれずにいて、その見せ方がすごく上手い。
自殺を試みるも、(頭のいい聡ならきっと知っているであろう)成功率の低いリストカットを選んでしまっていたり、復讐を決意するも、大人として救いもきちんと用意してしまっていたりと。

きっと聡はそんな理性的な自分や、それを捨てる手段と早苗を求めたことや、そもそも自分が生きていることに悩んでしまっているんだと思う。
そこに必要以上にクローズアップしない書き方、すごくいい。

ベタが何の象徴なのか?

最初から最後まで、やけに象徴的にベタが出てきますが、何を現しているのか、、最後までいまいち分からず・・・

美しさ(咲)の象徴なのか、暴力性(いじめ)の象徴なのか、
と思ったんだけど、それであれば加奈はもちろん、母親である真理子がベタを好きなわけがないんですよね。
早苗とベタの繋がりも見えてこないし。
読解力足りないなぁ。

単純にビジュアル的な彩り、ということもありますが、それにしては登場多いのが気になるんですよ。なんなんだろう。

 

サスペンスモノとしては、聡と咲の心理戦をもっと見たかったってところは残念。
テーマができる限り重いわりに、読後感がそこまできつくないのは、いいのか悪いのか。

加奈と聡のやり取りすごく好きなので、そこをもっと長く、深く見せてくれてたら読後感ももっときついものになっただろうな。

2017年 年間ベスト

  1. 村田沙耶香「殺人出産」
  2. 辻村深月「ぼくのメジャースプーン」
  3. ルイス・サッカー「穴」
  4. 梓崎優「叫びと祈り」
  5. 舞城王太郎「煙か土か食い物」
  6. 舞城王太郎「好き好き大好き超愛してる。」
  7. 柾木政宗「N0推理、NO探偵?」
  8. 城平京「虚構推理」
  9. 辻村深月「名前探しの放課後」
  10. 三島由紀夫「命売ります」
  11. 森博嗣「すべてがFになる」
  12. 米澤穂信「満願」
  13. 豊島ミホ「底辺女子高生」
  14. 江戸川乱歩「江戸川乱歩名作選」
  15. 太宰治「人間失格」
  16. 辻村深月「子どもたちは夜と遊ぶ」
  17. 深水黎一郎「五声のリチェルカーレ」
  18. 麻耶雄嵩「貴族探偵」
  19. 朝井リョウ「桐島、部活やめるってよ」
  20. 喜国雅彦「本棚探偵の生還」
  21. 森博嗣「冷たい密室と博士たち」
  22. 西澤保彦「殺意の集う夜」
  23. 野村美月「文学少女と死にたがりの道化」
  24. 森絵都「宇宙のみなしご」
  25. 湊かなえ「山女日記」
  26. 霧舎巧「名探偵はもういない」
  27. 泡坂妻夫「湖底のまつり」
  28. 降田天「女王はかえらない」
  29. 森絵都「気分上々」
  30. 辻村深月「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」
  31. 野村美月「文学少女と飢え渇く幽霊」
  32. 辻村深月「光待つ場所へ」
  33. エドガー・アラン・ポー「黒猫」
  34. 歌野晶午「そして名探偵は生まれた」
  35. 法条遥「忘却のレーテ」
  36. 折原一「グランドマンション」
  37. 辻村深月「ロードムービー」
  38. 瀬尾まいこ「強運の持ち主」
  39. 志駕晃「スマホを落としただけなのに」
  40. 桐山徹也「愚者のスプーンは曲がる」
  41. 峰月皓「七人の王国」
  42. 湊かなえ「母性」
  43. 飯田譲治 梓河人「盗作」
  44. 伊坂幸太郎「残り全部バケーション」
  45. 折原一「遭難者」
  46. 折原一「螺旋館の殺人」
  47. 芦沢央「罪の余白」
  48. 井上夢人「魔法使いの弟子たち」
  49. ジェフリー アーチャー「百万ドルをとり返せ!」
  50. 伊坂幸太郎「首折り男のための協奏曲」
  51. 竹吉優輔「襲名犯」
  52. 湊かなえ「境遇」
  53. 長谷川夕「僕は君を殺せない」
  54. 早坂吝「〇〇〇〇〇〇〇〇殺人事件」
  55. 蘇部健一「六枚のとんかつ」