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柾木政宗「N0推理、NO探偵?」

第53回メフィスト賞受賞作。
「メフィスト賞史上最大の問題作」なんてハードル上げまくりのキャッチコピー。
そりゃ気になる。
結果、最高。あくまで僕的にはですが、最高。

あらすじ

私はユウ。女子高生探偵・アイちゃんの助手兼熱烈な応援団だ。けれど、我らがアイドルは推理とかいうしちめんどくさい小話が大好きで飛び道具、掟破り上等の今の本格ミステリ界ではいまいちパッとしない。決めた!私がアイちゃんをサポートして超メジャーな名探偵に育て上げる!そのためには…ねえ。「推理って、別にいらなくない―?」NO推理探偵VS.絶対予測不可能な真犯人、本格ミステリの未来を賭けた死闘の幕が上がる!
引用:Amazon

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感想

推理ができなくなった探偵が事件を解決していくコミカルな探偵小説。

これまでのメフィスト賞全部読んでるわけじゃないですけど「メフィスト賞史上最大の問題作」という言葉に嘘はないだろう。と思う。

「NO推理、NO探偵?」は軽い台詞でのやり取りがほとんとで、とにかくライトな文体ですが、柾木政宗はきっと、「普通の(とういう表現であっているのか不安ですが)ミステリー」も書ける作家さんだと思う。

問題作であることは間違いないです。
誰にもオススメはできないけど、僕は大好きだし、絶賛しちゃう派です。
ぜひみんなにも読んでほしい。
そして怒ってほしい。謝らないけど。

今作で全ての読者を全力で殴りに来てて、次作がとても楽しみなようで怖いようで。
アイちゃん&ユウちゃんのこの後も読みたいし、柾木政宗の書くもっと順当なミステリーも読んでみたい。
でも、今作での上がったハードルを越えられるのか。
あぁ、本当に楽しみだ。
早く次作を!

ネタバレになりそうな感想

とにかくメタメタ。
最初から最後までメタメタ。

1話〜4話までは推理をせずに事件を解決していく。
最終話で探偵の力が復活したアイちゃんがそれぞれ解決した1話〜4話の「推理のショートカット」をしていく。あくまでもショートカットであって新たな真相ってわけではないのにわざわざ披露してしまう、探偵の性。ダサくてかっこいい。
そして最終話の推理。

メタミステリーとはなんぞや、みたいな話は怖いのでしませんが、「アンチミステリーとしてのメタミステリー」ってあると思うんですね。
そういった視点からでいうと、「NO推理、NO探偵?」はきっと「アンチメタミステリーとしてのユーモアミステリー」なんじゃなかろうか。
メタミステリーに対する手段がユーモアミステリーってすっごいかっこいいと思うんですよね。

批判的な意見として探偵と助手の漫才的なやり取りやらギャグやらが「寒い」「スベってる」っていうのをよく見ますが、こんなタイトルでこんな表紙で書き出しから「寒い」のは分かるはずなんですよね。
そういう部分ではとてもフェアだと思う。

とはいえ、真相に「聞き間違い」をもってくるのがいくつかあったのはどうかと思う。
それでも、この作品は大傑作だし、大絶賛しちゃう。
大好き。

作者の柾木政宗さんは本当は、古典的な本格ミステリが好きなんじゃなかろうか。
飛び道具ばかりになってきた現代のミステリー界に警笛を鳴らそうとしてるんじゃなかろうか。なんて考えるのは深読みしすぎかしらん。

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Book | 2017年9月22日